表題番号:2023C-268 日付:2023/11/13
研究課題高大接続に関する数学教材の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 清水 英太
研究成果概要
昨年度まで、文系・理系の志望の違いによる学習時の特性を測る研究を行い、同一の自然現象を提示してどう数理モデル化を果たしていくかを研究してきた。今年度は特に文系生徒の理解状況を分析する方向にシフトして研究を行った。具体的には、文系クラスの生徒に対する微分に関する理解度を把握するテストを実施・分析し、その結果をJ.S.Brunerの表象の理論に基づいた認知発達の段階に区分することにより、学習理解の特性を明らかにした。具体的に文系志望の生徒は、Brunerによる学習理解は動作的表象・映像的表象・記号的表象の順に螺旋的に進んでいくという事実のうち、特に記号的表象、すなわちより抽象的な記号操作の意味の理解により困難を抱えていることが本研究から示唆された。これは、過去の筆者の研究において理系志望の生徒が、数理現象の記述に際して、数学記号や数式を文系の生徒よりも頻繁かつ的確に使いこなす傾向が強かったこととの著しい違いである。以上の研究成果を、日本数学教育学会第56回秋期研究大会において発表を行う予定である。今後は、これまでの研究成果に基づき、文系志望の生徒の特性に応じた精緻な教材・指導法の考案が課題である。