表題番号:2023C-267 日付:2024/02/29
研究課題境界条件付きラフ保存則方程式のkinetic理論の構築
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 登口 大
研究成果概要
BGKモデルとは輸送方程式にスケールパラメータεを持つ摂動項を加えた、非斉次線形偏微分方程式である。決定論的な場合において、BGKモデルにおけるスケールパラメータεを0に近づけることで、BGKモデルの解は保存則方程式のkinetic解に収束することが知られている。本研究では有界領域における(したがって、境界条件付きの)弱幾何p-ラフパスによって駆動される状況下でも同様に先行研究の結果が得られるかを確かめた。その結果、「ある条件」の下で、肯定的な結果を得ることに成功した。しかし、現在の予想では「ある条件」を弱めることができると考えている。具体的には、BGKモデルにおけるポテンシャル関数aをγ-リプシッツ連続とするとき、リプシッツ指数γと方程式を駆動するラフパスのラフネスpとの関係が、γ>p+1となっている現在の結果に対して、γ>pとできることを予想している。その根拠は、境界における解の評価の兼ね合いからγ>p+1という条件を課しているが、境界条件の無い全空間における方程式で考えた場合はγ>pを得ることができる。解が満たすべき境界条件を見直し、適切に定義することができれば、γ>pとできるのではないかと予想している。次年度以降も、本研究の続きに取り組み、今年度の結果をさらにブラッシュアップしていきたいと考えている。