表題番号:2023C-259 日付:2024/01/29
研究課題競技性をもつ理科実験教材の開発とアクティブラーニングへの応用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 竹田 淳一郎
研究成果概要

【概要】

 理科は実験を必要不可欠とすることが他の教科と異なるがあらかじめ結果がわかっているテーマで実験を行うことが基本であるためその内容をアクティブラーニングに適用するには工夫が必要である。そこで国際化学オリンピックや科学の甲子園などで実施された競技性の高い実験問題を改良して授業に導入できれば有意義であると考えた。この研究は6年ほど前から進めているが現段階での進行状況を報告する。

【結果と考察】

今年度は中学生の力学の分野で教科書の実験を踏まえて運動エネルギーと位置エネルギーの関係について実感できる教材開発を行った。本教材はどの教科書にも掲載されている斜面を転がる球の衝突実験をベースにして球の質量や転がる高さを変えて衝突させる木片の移動距離から位置エネルギーと運動エネルギーが何に影響を受けるかということについて先行研究などを提示したうえで生徒一人一人が考察できるように工夫したものである。中学生の化学電池の分野では私が執筆した検定教科書に基づいて授業および実験を行い改良点を把握したうえで次回の改訂に向けて教科書の執筆を進めている。

また今年度新たに開発した教材として2020年度の科研費奨励研究「科学史における重要な発見や業績を生徒が追体験できる教材の開発」の研究成果2022年度の早稲田大学特定課題研究助成費科研費連動「産業史及び産業遺産を科学教育に効果的に導入できる教材の開発」の研究成果に基づいて銅の化学反応を用いた教材を開発した。この成果に基づいて学会発表「産業遺産から学ぶ銅を用いた探究的な化学実験の実践報告」 竹田淳一郎・谷川佳樹 令和5年度 全国理科教育大会・第94回日本理化学協会総会 20238月口頭発表を行った。学会では足尾銅山以外で教材として利用できる可能性の高い鉱山跡についての有益な情報交換を行った。