表題番号:2023C-250
日付:2024/04/05
研究課題日本語教育現場における談話管理のストラテジー指導に関する研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 日本語教育研究センター | 講師 | 吉田 好美 |
- 研究成果概要
2022年度特定課題「言語行動における談話管理のストラテジーに関する研究」では、対面と非対面の場面での勧誘に対する断り方を比較し、謝罪や終結部における談話管理の相違点の分析を行った。当該課題の目的は、談話管理において、異なる状況下でのストラテジーの差違を明らかにすることであった。その結果、対面ではジェスチャーやフィラーなどの非言語情報が談話管理に影響を与える一方、非対面の場面では文字情報が重要な要素となるため、スタンプや送信時間なども考慮して分析する必要があることが明らかになった。
2023年度の本特定課題でも継続して談話管理のストラテジーに関する研究を進めてきた。同時に、これまでの特定課題で得られた知見を活かすべく、報告者の授業内で日本語学習者を対象に談話管理に関する指導を行ってきた。日本語学習者が談話管理について理解し、実践的に活用できる能力を育成することを目指してきた。具体的には、談話管理の機能やストラテジーに焦点を当てて指導を行った。学生たちには、比較文化の観点から日本語を捉える新たな視点を養うことを促し、談話管理について深く考える機会を提供した。また、学生の気づきが得られるように報告者から働きかけを行い、教室内に留まらず、日常的に談話管理を意識して日本語を使用するよう促した。
授業終了後は、学生へのアンケート調査を通じて、彼らが日本語における談話管理をどのように捉えたかについて調査した。本授業実践については、2024年8月の日本語教育国際研究大会において「言語行為における『適切さ』を考える授業の実践報告 ―語用論的観点から捉える日本語―」と題した口頭発表を行い、授業内容の紹介と授業実践の報告をする予定である。