表題番号:2023C-248 日付:2024/03/27
研究課題アジア・太平洋における「戦争の記憶」の追跡調査・補足調査
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際学術院 大学院アジア太平洋研究科 教授 早瀬 晋三
研究成果概要
 2007年に出版した『戦争の記憶を歩く 東南アジアのいま』(岩波書店)は、2003-05年に東南アジア各国・地域・都市(シンガポール、半島マレーシア、クチン、西カリマンタン、タイ、ミャンマー、フィリピン、プノンペン)でおこなった調査に基づいて書いたものである。これを英訳したA Walk Through War Memories in Southeast Asia (Metro Manila: New Day Publishers)を2010年に出版し、この英訳版を読んだアテネオ・デ・マニラ大学の学生51人の感想、および、2011年にシンガポールとクアラルンプルでおこなった再調査の成果を加えて、2012年に増補版を出版した。この本の序章で「記念碑は壊されることがあり、博物館の説明文は時代によって変わります」と書いたことが、2011年の再調査で明らかになった。博物館そのものがなくなったり、新たにオープンしたりしたものがあった。すでに調査をおこなった国・地域・都市の追跡調査、および、これまで調査する機会がなかった国・地域・都市の調査を新たにおこなう必要性を感じた。
 2015年度のブルネイ、マレーシアのラブアン、リンバン、シンガポール、16年度のフィリピンのマニラとネグロス島ドゥマゲェテ、香港、17年度のマレーシアのペナン、イポー、タイピン、シンガポール、18年度のマレーシアのコタバル、マラッカ、スレンバン、コタキナバル、19年度のフィリピンのバギオ、ダバオ、オーストラリアのキャンベラで戦争記念碑・博物館に引き続き、海外で調査する予定であったが、新型コロナウィルス感染拡大の影響および国際航空券の高騰などで実施できず、23年度は会津若松、下関、姫路など国内調査をおこなった。会津若松では戊辰戦争時の東軍(幕府)、西軍(新政府軍)の戦没者墓地、下関では高杉晋作が神葬され吉田松陰らと祀られた桜山神社、姫路では日清・日露戦争、維新の戦没者が祀られている護国神社近くの播磨国総社の片隅の祖霊社などで、靖国神社の起源にかんする調査をおこなった。