表題番号:2023C-237 日付:2024/04/01
研究課題同性婚訴訟、一票の格差訴訟を中心とした日本型政策形成訴訟の発展状況
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際学術院 国際教養学部 准教授 秋葉 丈志
研究成果概要

 当研究の主な成果として、この間の研究の蓄積・展開を生かし、早大比較法研究所で公開のシンポジウムを実施したこと、また早大に滞在している外国研究者と、同性婚訴訟の今後を見据えて、「婚姻に代わる選択肢はあるのか」という国際共同研究に取り組み、査読付論文の採択に至ったことが挙げられる。

 研究は一貫して、政策形成型訴訟の「過程」「アクター」に焦点を当て、「誰がどのようにして、なぜ」こうした訴訟に取り組み、その過程にどのような影響を与えているのか、またこうした訴訟が当事者や関係者にどのような変化をもたらすのか、さらにはこのことから見えてくる司法過程や国の統治過程の課題を考えることを目的として展開してきた。

 こうした研究目的から多くの「人」に会うことにもなり、こうした「人」に焦点を当てた研究成果を対外的に発信する機会にも恵まれる。20236月に早大比較法研究所で開催したシンポジウム「アメリカと日本における同性婚訴訟:当事者・原告として、弁護士として」は、その一つで、聞き取り調査の過程で出会った日米の訴訟関係者(ともに当事者でもあり弁護士でもある方)を招いて、両国の訴訟について報告・検討を行った。

 また、国内の同性婚訴訟の論点の一つとして「婚姻とは別制度を設けること」の是非が論じられる中で、すでに婚姻ないしはこれに準じる制度を設けるに至ったヨーロッパやアメリカにおいて、どのような議論が展開され、どのような制度が採用されるに至ったのか、またその背景要因を分析する国際共同研究を行った。その成果となる論文は査読付の紀要に採択され、本年6月に出版予定である。

 一連の研究に基づき、「一票の格差」訴訟を深く掘り下げることを企図した2024年度からの科研費の研究課題が採択されるに至ったところである。