表題番号:2023C-229 日付:2024/04/04
研究課題運動時の身体の生理応答および動きを人工知能に学習させる試み
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 スポーツ科学部 教授 林 直亨
研究成果概要
身体の応答として顔面の皮膚血流応答を例に,与えられたデータが刺激の前か後かを判断するモデルを構築することを目的に本研究を行った.刺激の例としては,温熱刺激を用いた.これまで取得してきたデータ180名分を用いることとした.データは,顔面の皮膚血流(前額,鼻,瞼,頬,唇)を含むものであった.ホットパックによる加温部位であった頬の,加温前後の10秒間の連続データを用いてモデルの構築と評価を行った.学習用(モデルの構築)に用いたデータの個数は,加温前112,加温後109であり,検証用(構築したモデルのテスト)には加温前113,加温後111であった.ロジスティック回帰分析を用いて,目的変数をホットパックによる加温前後(前=0,後=1), ステップワイズ法でAICが一番小さいモデルを採用した.得られたモデルのAUCは0.93と高かった.局所的な血管の抵抗性を示す指標,副交感神経活動に関連する指標,血流の定常流成分の変化を示す指標が統計的に有意な説明変数として挙げられた.構築したモデルを使って,検証用データの血流指標から 実際の加温刺激前後を予測し,モデルを評価した結果,正解率は83%と高い成績であった.これらの結果から,身体の生理応答を人工知能に学習させることが可能であることが示された.今後は,実際の運動時や疲労時のデータを用いたモデルの構築を行う必要がある.