研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | スポーツ科学学術院 スポーツ科学部 | 教授 | 正木 宏明 |
(連携研究者) | スポーツ科学研究科 | 博士課程2年生 | Yang, Xuan |
- 研究成果概要
アスリートの完全主義の強さは認知不安や身体不安と相関を示すことから,競技パフォーマンスに影響を及ぼす可能性を指摘できる。本研究では,大学生アスリートの完全主義特性とパフォーマンスモニタリング機能との関連を検討した。
調査研究ではスポーツ経験を有する学生を対象に日本語版完全主義認知尺度 (PCI)を実施した(有効回答数137,平均年齢18.63±0.9歳、男女比58:42)。その結果,平均PCI得点と標準偏差は40.58±18.74であった。
実験研究では,調査で回答を得た学生を対象に,PCI得点に基づき高群(59以上,10名)と中程度群(59〜23,15名)に群分けし,脳波計測実験への参加を依頼した。実験では空間ストループ課題を用いた。注視点の上下いずれかの位置に,上下いずれかを指す矢印がランダム提示され,被験者は提示位置を無視して,矢印の方向にボタン押し反応した。被験者単独で課題遂行する単独条件と,他者1名とペアを組み,協働で罰を回避する協働条件を設定した。参加者は各条件6ブロック(72試行/ブロック)遂行した。
反応時間には,刺激反応整合性(SRC)の主効果のみが有意であり,不一致刺激のほうが一致刺激よりも反応時間は長かった。一方,エラー率については,SRCの主効果以外に,群とSRCとの交互作用が認められ,高群は中程度群よりも不一致刺激におけるエラー率が低かった。制限時間(450 ms)を超過した遅延エラー率も高群のほうが中程度群よりも低い傾向であった。行動指標のいずれにも協働効果はみられなかった。パフォーマンスモニタリング機能を反映するエラー関連陰性電位(ERN)には完全主義との関連性を示す証拠は認められなかった。本研究の結果から,他者との協働の有無に関わらず完全主義傾向の強い者はエラーを強く抑制するものの,ERNには反映されないことが示唆された。