表題番号:2023C-221 日付:2024/04/05
研究課題Web会議システムを用いたEMI授業における受講者行動の分析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 講師 杉本 清香
研究成果概要
英語を媒介言語とする専門科目の授業は現在約800存在する日本の大学の4割以上で実施され、今後も増加する見通しである。国際感覚の養成、英語力の向上など様々な利点が期待される一方、実践が研究を先行し、その効果的な実践方法はいまだ確立されていない。コロナ禍により英語による授業の多くがオンラインで実施されたが、対面授業と同様、効果的な実践方法を模索しながらの試行錯誤が続いている。例えば申請者が担当する英語を媒体としたオンライン授業においては、チャット・キャプション機能等を含むWeb会議システム(Zoom)と、オンラインで学生間のディスカッションを可能とするフォーラム等を含めたLMS (Waseda Moodle)を使用している。このようなICTを使用したオンライン授業においては発話内容を聴覚のみでなく視覚的にも確認できるメリットや、「話す」だけでなく「書く」ことにより発言をすることができるメリット等、独自の利点があると考えられる一方で、それらを学生側がいかに使用し評価しているかについては不明瞭なままである。このような経緯から本研究では、申請者が担当するZoomとMoodleを使用した英語によるオンライン授業において学期終了後オンライン質問紙調査を行い、学生がそれらのICTの各機能をどのように使用しどのように評価をしたか、あるいは使用しなかった場合はその理由について調査した。結果、各機能の使用頻度は受講者により多様であるものの、回答者の7割以上が各機能の存在が授業内容の理解と満足度に貢献していると回答した。自由回答式質問の回答の分析からは、とりわけチャット機能が心理的・事務的なサポート、キャプション機能が言語的・心理的サポートとして評価されていることが示唆された。使用しないと回答した約三割の回答には、各機能の使用価値が感じられない、技術的な問題解消以外に有用性が感じられない等の回答の他、機能に対して依存性が生まれるものを危惧するものがあった。