表題番号:2023C-217 日付:2024/04/03
研究課題交通弱者の優先性を実質化するトラフィックヒエラルキーにかかる研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 教授 加藤 麻樹
研究成果概要
混合交通の発生する道路上において,歩行者,自転車,自動車どうしの交通事故が発生する危険があることから,いわゆる交通弱者(歩行者,自転車)の安全のため,優先性の確保が求められており,諸外国では法律または慣習によって一定の優先性が確保されている.この優先性をトラフィックヒエラルキーといい,我が国では道交法38 条に規定されている.日本自動車連盟が2016年より継続している,無信号横断歩道における歩行者の優先にかかる調査で,歩行者の横断に対して一時停止する車両は1割程度だったが,2023年には4割以上にまで改善されてきたことがわかっている.
 本研究課題では自動車と交通弱者の立場から横断歩道における進行または横断の判断に影響をおよぼす要因についてとりあげ,そのうち交通弱者としての自転車の走行における車両との関連性について検討した.実験の結果自転車による危険運転として車両と路側帯との間のすり抜け行動における特性として,自転車の幅と通過する間隙との間に一定の比率が認められたことから,接触を回避するための自転車側ならびに自動車側のリスク評価にかかる基礎資料を構築した.左側通行が義務づけられている自転車の直進を妨げる駐車車両があった場合の回避行動の前提として必要となる自転車の後方確認動作の実験的な評価を実施し,目視確認とともにミラーによる後方確認の有効性を示すとともに,自転車の挙動特性を定量的に示したことで,自動車側から見た前方左側を走行する自転車の回避運動特性を示すことで,ドライバの危険予測に寄与する基礎的な資料が構築された.