研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 人間科学学術院 人間科学部 | 教授 | 金 群 |
- 研究成果概要
高度デジタル化社会において、増え続けるビッグデータを有効的に利活用するため、データの所有者など利害関係者の利益保護が重要である。本研究は、データ所有者の意志と利益を守りながら、データは分散かつ秘匿状態のまま、利用権を持つ者が信頼して利用できる分散データ共有モデルを新たに提案し構築することが目的である。今年度の研究においては、ギブアンドテイクの考えに基づき、データ所有者と利用者の双方の利益を考慮するデータ共有のインセンティブ手法について検討し、これまでの先行研究で提案してきた利用者個人主導データアクセスコントロール方式及びブロックチェーンと分散型連合学習によるプライバシー保護強化メカニズムとの連携をはかり、実験的な検証を行っている。
今年度の主な研究成果は以下の通りである。
(1) 技術受容モデル(TAM)の基準に基づきAirbnbを例としてシナリオを設定し、アンケール調査を実施し、集めたデータを分析することにより、行動意図に影響を与える様々な要因を見つけ出し、供給者(提供側)と消費者(利用側)の信頼関係が最も重要な要因であることを明らかにした[1]。
(2) 利用者個人主導データアクセスコントロール方式を用いた実験環境のもと、スマートコントラクトによるマルチレジャー協同メカニズムの実験検証[2]及びその結果の分析を行った上、ヘルスデータの統合・共有・分析と分析結果の可視化を検証する実験環境を構築し、適用の可能性と有効性を検討した[3]。
(3) 提案モデルを用いてデータ共有と利活用を促進する方策と課題について検討し、ヘルスデータを含むビッグデータ分析により健康など人間が持っている多くの側面を理解し、連合学習やブロックチェーンなど新興技術融合による個人化支援サービスの構築における課題と今後の展開について提示している[4, 5]。