表題番号:2023C-215 日付:2024/03/05
研究課題eスクール授業における教授者からの書き込みの時間差が受講生の学びに与える影響
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 教授 保崎 則雄
(連携研究者) 人間科学部 授業TA, 教育コーチ 冨永麻美
研究成果概要

2023年度は、昨年度の対面型の授業「Media Production Studies」の授業の分析をもとに関連分野の学会誌に投稿したもの(研究成果発表を参照)を踏まえて、同じオンラインでの学び、コミュニケーションの分析を、春学期の社会人大学、eスクール科目「メディアコミュニケーション学」の14週の授業をもとにして分析した。分析対象としたのは、主に、毎回のオンデマンド授業映像視聴後に各受講生がMoodle上のフォーラムに書き込む2種類の書き込みメッセージである。2種類の書き込みは、1)授業映像視聴に関する理解、疑問などのコメント、2)他の受講生の書き込みについてのコメントや追加情報、意見など、の2種類である。

分析の結果、明らかになったことは以下のと通りである。授業内容がフォーラムでのディスカッションでのコメントのしやすさという要素と関係してはいたが、その書きやすさというのは教員側の書き込みのタイミング、文体、創発性といったことばかりではなく、社会人受講生の書き込みのマナーや問題提起のやり方、お互いのコメントへの関わり方といったことに起因していることが、学期最後の「授業の振り返り」の内容を読んで明らかになった。同様に1)ディスカッション活動への参加の肯定感、2)教員側からのコメント内容の有用性、3)オンデマンド授業映像の内容や文字でのディスカッションへの手応えというものが、学びへの積極性へとつながっていることが明らかになった。これらのことから総合的にオンラインのみでの授業において、学びが深まる要素というのは、教え方の適切性、わかりやすさというだけではなく、学びのコミュニティ(教える側と学ぶ側)における参加者属性というものが大きな影響を与えることが再確認されたということは、授業の原点回帰のような視点で考えて興味深い。