表題番号:2023C-213
日付:2024/04/03
研究課題地区防災計画及び災害時支え合いマップにみる災害時要援護者への対応と地域への影響
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 人間科学学術院 人間科学部 | 准教授 | 古山 周太郎 |
- 研究成果概要
本研究では、地区防災計画の策定や災害時支えあいマップの作成を目指し、沖縄県渡嘉敷村を対象地として、地域防災マップとして避難地図を作成すると共に、災害時要援護者への個別避難訓練を実施した。まずマップ作成においては、「逃げ地図」を参考に、ワークショップ形式で避難時間を地図上に可視化し、マップを確認しながら避難行動や要援護者対策の課題について意見を整理した。その結果、避難行動については、避難場所も避難所へ行くにはかなりの距離を上る必要であることや、避難場所への坂道が急であることから“高齢者等の避難に時間がかかる”といった指摘がみられた。また、要援護者対策では、避難場所が遠い世帯や、移動に困難を抱える要支援者への車での避難について話題に出たものの、道路上の障害物で使えなくなる可能性や“道路が狭くすれ違えないので渋滞が起こる”といった意見が出た。また、要援護者が多いために、民生委員だけでは避難支援は難しいといったように、避難支援者の不足が課題となっていた。続いて、要援護者の個別避難訓練を、家族や関係者、避難支援者と共に5名実施した。避難訓練時には、参与観察を行い、本人や支援者の様子や会話を記録し、訓練後の話し合いで出た意見を整理した。結果としては、津波到達予測時間に間に合うように避難場所までは避難できたものの、坂が急であり、また支援者や家族が高齢のために体力が続かないといった課題があり、その対応のために地域住民の協力が不可決との意見が出た。最後の話し合いのなかで、住民の防災意識を高めて自主防災組織を組織化する必要との合意に至り、地域防災力の強化に向けた住民意識の変化といった影響がみられた。