表題番号:2023C-212 日付:2024/02/05
研究課題学級の心理的安全性を高める教師のかかわり
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 准教授 桂川 泰典
研究成果概要

不登校予防研究において,心理的な安心感と学校の出欠日数の関連が明らかとなっている。

本研究は,小学校の学級において子どもの「心理的安全性」(Edmondson, 1999)を高める教師のかかわりについて,適切なベンチマークを特定し,専門家パネルによる合意を得ること,ベンチマークに基づき「学級の心理的安全性」尺度を作成すること,担任教師の取り組みが児童の「学級の心理的安全性」に与える影響について分析することを目的とする。


【研究1】1.「集団の心理的安全性」尺度(Edmondson, 1999)を参考に,「学級の心理的安全性」評価項目を作成する。

2.e-デルファイ法(McIlrath, Keeney, McKenna, & McLaughlin, 2010)を用いる。第1ラウンドでは,専門家パネル(小学校教師)に対して,

 「学級の心理的安全性」項目を読んで「このような学級にするために教師が行える実践」について,オンラインフォームへの自由記述回答を求める。

3. 回答されたベンチマークについて分類・統合を行う。

4. 第2ラウンドでは,3.の項目について「有用性」と「実施可能性」を評価する尺度(4件法リッカート)を作成し,専門家パネルに評価を依頼し,学級の心理的安全性を高める教師の取り組みについて合意形成を得る。

 

【研究2

5.作成された「学級の心理的安全性」尺度について,学級毎に児童が回答(1学期)。児童は,構成概念妥当性のための尺度にも回答。

.教員研修:学級担任は,担任する児童の回答傾向についてフィードバックを受けるとともに,教員研修において心理的安全性をどのように高めるかについて,研究1のベンチマークを参考にアイデアを案出し,実践計画を立案。

7.「学級の心理的安全性」尺度について,学級毎に児童が回答(2学期末)。担任教師の取り組みと尺度の推移について分析。

 

結果:「学級の心理的安全性」に関する尺度が作成され,信頼性および妥当性が確認された。

また,教員研修を通して,心理的安全性をたかめる取り組みについての実践例が多く収集されるとともに,教員集団の中で実践を活用したいという意欲の高まりが認められた。各担任の取り組みの実際と学級児童の尺度の推移については現在分析中である。

研究1については学会発表済みである。研究2については分析が終了次第,論文執筆投稿を行う予定である。