表題番号:2023C-209 日付:2024/02/05
研究課題アニメイテドペルソナ概念の現象学的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 教授 森岡 正博
研究成果概要
研究課題であるアニメイテドペルソナの概念について詳細な考察を行ない、現象学の専門誌Human Studiesに査読論文を掲載した。Masahiro Morioka, The Sense of Someone Appearing There: A Philosophical Investigation into Other Minds, Deceased People, and Animated Persona, Human Studies Vol. 46, pp. 565–582, (2023).この論文ではアニメイテドペルソナの到来を、死者の現われ、非人間への現われ、意識ある生きている人間への現われの三つの場面で考察し、それが現われるメカニズムを分析した。本研究の大きな特徴は、人間への現われと、非人間への現われを同一のアニメイテドペルソナの現われとして把握したこと、そしてそれによって人間と非人間を峻別する西洋哲学の枠組みに異議を唱えたことである。また研究の成果として、「背面性に対する表面性の優越」という概念を提唱することができた。また、アニメイテドペルソナの現出・非現出を12通りに分類してその特徴をクリアーにした。この結果は、現象学における身体論・他我問題に大きな影響を与え得るばかりでなく、ロボット倫理学や動物倫理学に対してもインパクトを与える可能性があると考えられる。予定していた研究をおおよそ完遂した。