表題番号:2023C-188 日付:2024/04/04
研究課題アフリカ地域における障害児を対象としたインクルーシブ教育の展開
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 社会科学部 講師 利根川 佳子
研究成果概要


本研究は、国際的に注目されている、障害児のための教育の手段としてのインクルーシブ教育に焦点をあてている。利根川は、これまでエチオピアの障害児教育を調査してきた。今年度は、エチオピアの首都アディスアベバで現地調査を実施し、聴覚障害児のための特別支援学校の2つの小学校にてインタビュー調査および授業観察を行った。対象校のうち、1校は障害児と非障害児がともに教育をうける小学校、もう1校は聴覚障害児のみを受け入れる小学校という違いがあるため、対象校2校における教育方法の違いや関係者の教育に対する認識の違いに注目した。インタビュー調査は、対象校に就学している障害児および非障害児、障害児の保護者、校長にインタビューを行い、障害児と非障害児が教育を受ける「インクルーシブ教育」についての認識をさぐった。またインタビュー調査や授業観察から学校での教育実践についても調査を行った。本研究の研究成果は来年度に論文にまとめる予定である。そのほかにも、本年度は、2冊の書籍において、エチオピアの障害児の教育状況や政策について一章ずつ執筆することができた。執筆内容の中には、エチオピアの障害児教育の状況から、国際的な潮流によって画一化したインクルーシブ教育の在り方に疑問を呈し、現地の状況に適した「インクルーシブ教育」にあり方の模索を提案した。本研究では、エチオピア以外のアフリカの国の状況についても調査することを予定していたが、今回はそこまでに至らなかった。そのため、今後の研究において、エチオピアとアフリカの他国を比較研究したいと考えている。