表題番号:2023C-165
日付:2024/03/27
研究課題新たな気液界面培養基材による生体組織の構築
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 先進理工学部 | 教授 | 武田 直也 |
- 研究成果概要
- ヒトの腸は、多様な異種細胞から構成されている。独自に開発した微細構造をもつ基材(基材A)を用いて、生体内環境を模した条件で腸管上皮細胞を培養して腸管上皮モデル組織を作製すると共に、腸に存在する他の細胞を播種して、複合的な腸のモデル組織の構築を展開した。また、基材Aで他の上皮組織の細胞を培養して、腸以外のモデル組織の作製を試みた。基材Aで腸管上皮細胞を単独で播種した場合には、腸の立体構造(構造A, B)と機能を示す腸モデル組織が形成 された。機能の1つ(機能A)に着目し、その増強を目指して他の細胞種(細胞A)と共培養を実施した。細胞Aの播種数と共培養開始のタイミングを様々に検討した結果、共培養が達成されると共に機能Aの亢進が観察された。この機能Aに関わる他の2種類の細胞種(細胞B, C)とも共培養を行なった。その結果、細胞Bは顕著に増殖すると共に、腸管上皮モデル組織の形態変化を誘起した。一方で、細胞Cでは顕著な増殖は見られなかったものの、機能Aに起因して腸管上皮モデル組織と相互作用をしていることが示唆された。他の上皮組織の3種類の細胞(細胞D, E, F)からの、腸以外のモデル組織の作製も試みた。それぞれの細胞に適した培養液を用いたところ、いずれの細胞種も基材Aに接着して培養が可能であり、構造Aの形成も確認された。また、細胞Dと細胞Fでは、機能Aの発現を示唆する結果も得られた。一方で、上皮組織とは特徴が異なる形態も観察されたため、培養条件を改善して形態・機能をより生体に近づけるための展開が求められた。