表題番号:2023C-161
日付:2024/09/19
研究課題1分子計測によるタウオパチー発症の開始点と多様性の起源の研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 先進理工学部 | 教授 | 坂内 博子 |
- 研究成果概要
- アルツハイマー病、ピック病、慢性外傷性脳症など「タウオパチー」と総称される多様な疾患を引き起こすのは、微小管結合タンパク質のタウの異常な凝集である。タウオパチー脳の神経細胞・グリア細胞内に形成されるタウ線維の微細構造は疾患ごとに特異的であり、疾患特異的なタウ線維の構造を決定するのは凝集核の構造であることが報告されている。従って、タウオパチー発生の瞬間ともいえる凝集核形成の実態とメカニズムを知ることは大変重要と考えられる。In vitro 実験ではタウが液液相分離(LLPS)を介して凝集核を作ることが示されている。しかし、実際の細胞の中でいつ、どのように、タウの凝集核が形成されるのか?についてはこれまで明らかになっていない。本研究の目的は、細胞内でタウがモノマーからオリゴマー、オリゴマーから凝集核となる場と環境を特定し、タウオパチー発症の基本原理を明らかにすることである。本研究では青色光依存的にタウのダイナミクスを操作するツールOptoTauと1分子イメージング法を用いて、「細胞内でタウ凝集核を形成する必要条件は何か?」を明らかにすることを目指した。青色光の時間パターンを変化させることにより、凝集タンパク質を封入するアグリソーム形成と安定なタウオリゴマー形成を選択的に生成する条件を見出した。その中でも、タンパク質分解を免れて安定した凝集を短時間で形成する条件を発見したことが大きな進展であった。タウシード依存的にiPS細胞内のタウを凝集させる条件を確立した。免疫蛍光染色法の固定法や抗体を工夫することにより、タウの凝集体の凝集形態を厳密に特定する方法ができた。