表題番号:2023C-153
日付:2024/11/06
研究課題ジヒドロキシベンゾキノンを構成要素とする電気伝導性配位高分子合成と応用
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 先進理工学部 | 教授 | 山口 正 |
- 研究成果概要
- 配位部位を複数有する架橋配位子と金属イオンを組み合わせることによって,配位高分子が合成できる。この時、配位子と金属イオン間の相互作用が大きくなるように金属イオンと架橋配位子を選べば,金属-配位子間および配位子−配位子間の相互作用系が,二次元あるいは三次元的に広がった巨大な共役系が構築でき、電気伝導性が期待できる。本研究では酸化還元活性な架橋配位子としてジヒドロキシベンゾキノン(DHBQ)を,金属イオンとしてZn2+,Mn2+などの酸化還元の起こりにくい金属イオン用いた配位高分子の光電変換素子への応用について検討を行った。この配位高分子は作成時に共存させる対陽イオンの種類によって構造が異なるが、一次元構造および三次元構造をとる配位高分子について検討した。拡散反射スペクトル測定より、いずれの配位高分子もバンドギャップが1.7〜2.0 eVとなり、光電変換素子に適していることが明らかになった。次にこれらの配位高分子の薄膜を作成することを検討した。金属塩溶液と配位子溶液の交互スピン法により膜が生成することは明らかになったが、膜のSEM観察により比較的欠陥の多い不完全な膜になることが多かった。一方、三次元構造のZn配位高分子のみ、配位子溶液をスピンコートした薄膜を硝酸亜鉛溶液に浸漬する方法によっても薄膜を形成することができ、SEM観察からも良好な美結晶の集まりであることがわかった。この膜を用いて、素子(FTO/3D-Zn-DHBQ/PEDOT:PSS/Pt)を作成し、光電測定を行ったところ、それぞれ開放電圧40 mV,短絡電流2.7 μAを示した。この値は電流電圧ともに非常に低いものであるが、光電変換素子として機能することを示している。今後、更なる膜の作成法の検討、正孔輸送層の検討などを行う必要がある。