表題番号:2023C-150
日付:2024/04/02
研究課題高次対称構造を有する含窒素シクロファンの触媒機能探索
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 先進理工学部 | 教授 | 鹿又 宣弘 |
- 研究成果概要
ベンゼンに2つのパラ置換架橋鎖を有する[n][n]パラシクロファンの合成が報告されているが,含窒素芳香環を有する[n][n]パラシクロファンの合成は過去に報告されていない.申請者らは昨年度までに面不斉を有するラセミ体の[10][10]パラピリジノファンを合成した.そこで,本研究では,新たな機能性が期待される高次対称シクロファン類の光学活性体を合成するとともに,それらの歪んだピリジン環としての性質を探求することを目的に設定した.
既知の方法により合成した光学活性なブロモピリジノファンから,3工程の官能基変換と薗頭カップリングにより二つの炭素鎖を導入した。さらに 3 工程の変換を経てカップリング前駆体の光学活性ジインへと誘導し、続く Glaser 反応を用いた分子内カップリングと還元によって光学活性な[10][10]パラピリジノファンの合成を達成した.合成した[10][10]パラピリジノファンの CDスペクトルを測定したところ、UVスペクトルの吸収極大とほぼ同じ波長に正のコットン効果による吸収極大が観測され,高度な分子歪みによる芳香族性の低下を示差する結果がえられた.