研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 先進理工学部 | 教授 | 山田 章一 |
- 研究成果概要
本特定課題研究では、申請者がこれまで進めてきた大質量星コアの重力崩壊と超新星爆発の研究とそれに付随する親星の進化と原始中性子星の冷却を、星の自転を考慮した一般相対論的数値計算で定量的に明らかにしようというプロジェクトを一層推進しようとするものである。本年度主に取り組んだのは以下の点である。
⑴ボルツマンコードの改良
⑵ニュートリノ自身によるニュートリノ振動の解析
⑶機械学習の輻射輸送への応用
具体的には、
⑴ニュートリノ自身によるニュートリノ振動では、fast modeと呼ばれる運動量空間における角度分布に起因するモードが注目を浴びている。特に現在は非線形段階でニュートリノフレーバーがどういう分布をするかが詳しく調べられている。我々はそれが超新星爆発にどのような影響を及ぼすか調べるため、サブグリッドモデルを構築しボルツマンコードに搭載することを目指している。本年度はその準備として、6フレーバー全てのニュートリノを扱えるようにコードを改良した。
⑵ニュートリノによるニュートリノ振動には、fast mode 以外にも、通常の散乱過程に起因する振動モードがあることが明らかになってきた。我々は線形解析を用いて、このモードについて詳しく調べた。その結果、自発的に対称性を破るようなモードの存在やモード間の共鳴現象と、それらが起こる条件を明らかにした。
⑶ニュートリノ輸送をボルツマン方程式で扱うのは計算コストが非常に高いため、多くのグループは打ち切りモーメント法という近似を用いている。しかしそれにはclosure relationという非自明な関係を課す必要がある。我々は、この関係を自身のボルツマンシミュレーションの結果を教師データにした機械学習で生成することを着想し、LiteGBMというアルゴリズムを適用した。その結果、高次モーメントを低次モーメントと物質分布の情報から再現することに成功した。