表題番号:2023C-133 日付:2024/05/27
研究課題触媒的カルボニルダンス反応の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 教授 山口 潤一郎
研究成果概要
芳香環上の置換基の位置移動(ダンス)反応は、芳香族求電子置換反応では導入困難な位置に置換基を移動させることができ、多様な置換様式をもつ化合物の新規合成法となりうる。最近、我々はパラジウム触媒による芳香環上のエステルが1,2-移動するエステルダンス反応を開発した。また、本反応を脱カルボニル型カップリング反応と組み合わせ、エステルダンス/カップリング反応が進行することも見いだした。

今回、このようなダンス/カップリング反応を、芳香環上以外の置換基移動を伴う手法へ展開することを目指した。以前我々が報告したニッケル触媒によるエノール類と1,3-アゾールとのC–Hカップリング反応を再検討したところ、ジヒドロナフタレニル-1-ピバレート類とベンゾオキサゾール類がエノラートダンス/カップリング反応し、ジヒドロナフタレンのC2位でカップリングした化合物が得られることを見いだした。さらに、アルケニルピバレートの原料であるテトラロン類をピバル酸無水物存在下反応させることで、系中でピバレートを発生させつつ上記のダンス/カップリング反応を進行させることにも成功した。