表題番号:2023C-118 日付:2024/02/07
研究課題戦後日本のインフラ整備とまちづくりに関する歴史的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 創造理工学部 助手 小澤 広直
研究成果概要
本研究課題の成果は以下の通りである。

(1) 新聞記事にみる妙正寺川の歴史的変遷
神田川水系の中小河川である妙正寺川を対象として、河川空間整備や人々の川への関心・関与など歴史的変遷を明らかにすることを目的として、妙正寺川に関する新聞記事の抽出・分類により、1960 年代以降の度重なる水害とその後の河川改修の取り組み、2010 年代以降のかつての地場産業である染物に焦点をあてた取り組みなど、妙正寺川における水に関わる代表的な事象とその特徴を把握することができた。
本研究の成果は、第68回土木学会土木計画学研究発表会・秋大会(於:東京都立大学)にて、論文投稿と口頭発表を行った。

(2) 郡上八幡における水利用施設の現況悉皆調査
岐阜県郡上市八幡町(通称:郡上八幡)において、地域住民によって主体的かつ長年にわたって維持管理している水利用施設(水舟、水屋、水路、井戸など)を対象に、施設の現況把握と関係者へのヒアリング調査を実施した。本調査は、2019年度からNPO郡上八幡水の学校、早稲田大学景観・デザイン研究室、法政大学景観研究室の共同体制にて実施しているものであり、本研究課題の代表者は早稲田大学の調査メンバーの一人として継続的に参加している。本年度は郡上八幡の山裾に位置する尾崎地区での調査に参加し、治山管理不足から尾崎地区の水利用施設やその維持管理体制へ悪影響を及ぼしていることを把握した。
本調査の成果は、本年度内に調査報告書として取りまとめ、NPO郡上八幡水の学校のウェブサイト等で公開予定である。

(3) 都市の水辺再生における先進的事例に関する調査
都市の水辺再生における先進的な取り組みにより著名な源兵衛川(静岡県三島市)について、その取り組みを実施しているNPOグラウンドワーク三島の渡辺豊博事務局長らへのヒアリング調査及び現地調査を実施した。源兵衛川の水位安定という環境的なポテンシャルと市民活動からかわまちづくりへの発展的な展開を生かした、都市の水辺再生の先進的な取り組みのプロセスが把握できた。
本調査の成果は、所属研究室の学生とともに調査報告書として取りまとめ、所属研究室のウェブサイトにて公開した。