表題番号:2023C-115 日付:2024/02/05
研究課題Ca吸着・濾過層敷設による廃棄物処分場の カルシウムスケール抑制の可能性と仕様設計例
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 創造理工学部 教授 小峯 秀雄
研究成果概要
 管理型最終処分場の浸出水の処理過程で生じるカルシウムスケールは,処分場運営においてしばしば問題になる.そこで本研究では,廃棄物を埋め立てる際に,副産物を活用したCa吸着・濾過層を敷設することにより,廃棄物由来の遊離カルシウムをスケールに生成する以前に吸着・濾過させる方法を提案した.バッチ式吸着・濾過試験とカラム式吸着・濾過試験を実施し,各種副産物のCa吸着・濾過特性のデータベースを構築した.また,カラム式吸着・濾過試験の結果を詳しく考察し,供試体への浸透現象ならではの特性に対しての評価を行った.また,模型実験への展開に向けて降雨模擬土槽実験を実施し,現場適用を視野にいれた実験手法の確立を目指した.これらの実験を通して取得したデータを基に,Ca吸着・濾過層としての効果を試算し,設計に向けた考え方を示した.
 さらに,Ca吸着・濾過層の有効利用先として,あらたに脱炭素社会創生に寄与する素材の開発を提案した.Caは,CO2との親和性が高く,炭酸化に貢献できると考えた.これにより,処分場の浸出水のカルシウムスケールという課題を,脱炭素に貢献できる新しい概念「浸出水CCS」構想を提言した.