表題番号:2023C-109 日付:2024/03/27
研究課題ユニットハウスの出荷で発生する不具合の原因分析に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 創造理工学部 教授 棟近 雅彦
研究成果概要
 ユニットハウスと呼ばれる箱型の建築物は,規格化されたシンプルな構造であるため,増築や移設が容易であることにより,多くの場面で利用されている.ユニットハウスの製造では,作業工程の多くを工場で行っており,現地での作業工程を減らし短期間での建築が可能である.しかし,現地への出荷に際し,部品の積み込み忘れや出荷数不足など,出荷後に建設現場から報告されるクレーム(以下,出荷後不具合とする)の発生が課題となっている.本研究では,出荷後不具合が発生する原因を体系的に整理し,不具合の原因分析方法を提案することを目的とした.
 はじめに,A社で実際に発生した出荷後不具合の事例をもとに,出荷後不具合の事象の内容を把握した.出荷後不具合の事象としては,「(部品の)抜け」などの「部品の個数に関する不具合」と,「サイズ間違い」などの「部品の種類に関する不具合」があることがわかった.
 つぎに,A社の出荷業務の流れを把握するとともに,出荷後不具合の原因を調査した.出荷後不具合を発生させる作業ミスの内容は,大きく5つに分類できることがわかった.これをもとに,改善策の提案を行った.さいごに,出荷業務モデル,原因を分析するための観点リスト,原因分析方法を提案した.
 本研究では,過去の不具合事例を踏まえた事象や作業ミスなどの類型化結果や,出荷業務モデルなどのツールを活かした原因分析方法を提案した.また提案した原因分析方法をA社の社員に実際に使用してもらったことで,一部の問題点はあるものの,作業方法を変更する改善策の立案が可能なこと,また新たに発生した不具合も分析可能であることを確認できた.よって,提案法を活用することで,継続的な改善活動を実施できるようになると考えられる.