表題番号:2023C-104 日付:2024/04/03
研究課題XRにおける視覚的ユーザビリティ評価
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 講師 伴地 芳啓
研究成果概要
仮想現実(VR)や複合現実(MR)システムは、幅広い分野で広く利用されている。これらの技術は、物理的な要素と仮想的な要素を組み合わせることで没入感のある体験を提供する。しかし、これらのシステム内での物理的と仮想的な要素の比率は異なり、それがユーザー体験に影響を与える可能性が考えられる。物理的と仮想的な要素の比率がユーザー体験にどのように影響するかを理解することは、VRやMRアプリケーションの設計を最適化する上で重要である。
本研究の目的は、VRやMRシステムにおけるユーザー体験を調査し、タスクベースの相互作用に焦点を当て、ユーザービリティを評価することである。具体的には、3Dパズルの組み立てというタスクを対象にし、実物とCG要素の異なる比率がユーザーのパフォーマンスや主観的体験に与える影響を評価する。MR(実物)条件、MR(CG)条件、VR条件という3つの実験条件を用い、主観的と客観的な指標を用いてこれらの条件間でのユーザー体験の違いを明らかにする。
主観的評価では、参加者に5段階評価で操作性、現実感、距離知覚、不快感などを評価してもらい、客観的指標では、試行時間と視線を取得した。結果として、MR(実物)条件が他の条件よりも主観的評価が高く、試行時間も最も短かったことが示された。また、CG要素の比率が低いほど、ユーザーのパフォーマンスや体験の品質が向上し、逆に高い場合は不快感が増す傾向が見られた。今後の研究では、ユーザー体験の違いが実物とCG要素の比率や遅延による不快感に起因するのかを区別し、VRやMRアプリケーションの質的向上に貢献することが期待される。