表題番号:2023C-102 日付:2024/02/23
研究課題LiDARセンサを用いた三次元音場リアルタイム可視化表現に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 教授 及川 靖広
研究成果概要
  音波の伝播は視覚的な確認が困難であり、それらを効率的に計測し分かりやすく可視化することは、物理現象の空間的な把握に非常に重要である。そこでこれまで複合現実技術を活用した音空間計測手法および可視化技術の開発に取り組み、その有効性を示してきた。一方で、計測対象の拡大に伴い、実空間形状の正確な把握とそれを利用した三次元音場リアルタイム可視化表現の必要性が課題となっていた。そこで本研究では、実空間形状を点群データとして収集し、それを用いた三次元音場リアルタイム可視化を開発し、新たな表現手法を確立した。具体的には、以下の項目について取り組んだ。
1. LiDARセンサを用いて獲得した実空間形状点群データを活用したアレイ信号処理LiDARセンサを用いて実空間形状を点群データとして収集し、この収集した点群を音源群として仮定し、アレイ信号処理により点群上の空間音圧分布を求める手法を実現した。アレイ信号処理についてはMVDRを用いた。
2. 空間的に精密でかつ密な音圧分布の獲得LiDARセンサを用いて収集した空間形状データとアレイ信号処理を組み合わせることにより、実空間に存在する物体面場の音圧を求めることを可能とした。また、空間内に設定した複数の平面上や、空間内の任意の点に音源を仮定することも可能とし、空間的に精密でかつ密な音圧分布を求めることができるようになった。空間と音場の関係をこれまで以上に明確に示すことができた。
3.リアルタイム動作化アレイ信号処理のアルゴリズムを効率化し、リアルタイム演算可能なものを開発した。光学透過型HMDやタブレットPCを用いて可視化結果をリアルタイム表示することを可能とした。
4.計測結果への適用様々な音場計測への適用を通じ提案手法が有効であることを明らかにした。学会発表を多数行った。今後は本システムの社会実装を目指し、計測現場でより活用しやすいシステムにする。