表題番号:2023C-094 日付:2024/03/27
研究課題複雑な時系列モデルの動的予測のための定常埋め込み
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 講師 劉 言
研究成果概要

本研究では、全観測を部分観測に分けて、本質的な情報を観測データから取り出す提案手法として、それぞれの部分観測を興味のある時空間モデルで統計推測を行い、モデル空間の補空間情報により、観測される時空間データの複雑構造に関する統計的性質を決定する新たな方法を展開する。今年度の研究成果は、以下の通りである。

· 従属過程のスペクトルから生成される円周分布の特徴づけを行い、セミパラメトリック経験尤度法を提案することにより、円周分布の一般的な仮説検定問題の統計手法を提案した。

· ポアソン自己回帰モデルとその拡張となる長期記憶モデルを提案し、これらのモデルを用いることにより、新型感染症のモデリングを実現し、複数の国における感染者数と政策指標、気候変化との関連性を統計的に解析した。

· 想定時系列モデルの汚染モデルを意識して、その母数の統計推測において頑健性をもつものを、高次漸近論の観点から特定し、予測問題における頑健的な解析方法を提示した。

· Hill推定量のような裾推定量の高次的統計解析が未解決問題であり、部分標本数の選び方を意識した高次漸近展開を行い、正規近似を高次漸近展開の観点からより正確に実現することができた。

今後はこれらの成果を活かして、低次元時空間モデルへの埋め込みによる統計的推測論を確立し、非線形時空間データの特徴づけを行い、非線形性をもつ裾指数の定常性やその変化検出に関する検定論を展開し、金融・環境データへの適用を実現する。