表題番号:2023C-092 日付:2024/04/10
研究課題死亡率予測モデルへの新アプローチと新たなスタンダードの確立
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 教授 清水 泰隆
研究成果概要

本課題では,死亡率の新予測モデル提案と実データによるモデル評価を行った.従来の死亡率予測モデルは死亡事象が非斉時的ポアソン過程に従って起こると仮定することでポアソン回帰モデルを用いるのが一般的であった.本課題では,人間が仮想的な生命エネルギーを持つと仮定し,そのエネルギーが消滅することで死亡事象が発生するという仮設のもと,エネルギー過程を確率微分方程式によって記述することで,ゼロへの初期到達時刻を死亡時刻と定めた.このエネルギーモデルをSurvival Energy Model (SEM) と名付け,いくつかのSEMにおける初期到達時刻の確率分布を推定し,また推定された過去の推移から将来の分布を予測することにより,拡散過程SEMや,逆ガウス過程SEMが,長期的な死亡率予測を行う上で良い予測分布族のパラメトリックモデルを与えることを実証した.しかしながら,SEMの中の各種未知関数に対するパラメトリックモデルを与えることは,しばしば難しく,そのため,ノンパラメトリックな手法も提案した.そこでは,関数データ解析の手法を援用し,スプライン関数を用いて未知関数の推定を行うことで,より柔軟な関数推定が可能となり,長期予測において精度を高めることが示された.