表題番号:2023C-088 日付:2024/04/02
研究課題高導電性を有する超軽量CNT繊維の創製
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 教授 川田 宏之
研究成果概要

本研究では、高導電率を有する配線用カーボンナノチューブ(CNT)繊維の創製を目的として、高導電率を実現するためにCNT間の接触抵抗を低減する方法を検討した。CNT糸に六員環構造を持つ1-ピレン酪酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル-1-アミノピレン(PSE-AP)を導入し、さらに1塩化ヨウ素ジクロロメタン(ICl/DCM)溶液を用いたドーピング処理、黒鉛化処理を組み合わせることでCNT糸の導電性を向上させた。 黒鉛化処理はsp3結合を持つ不純物が減少し、ドーピング処理の効果が高まることが分かった。さらに、第1原理計算からPSE-AP処理によるキャリア移動度の向上とドーピングによるキャリア密度の増加による2つの相乗効果を得ることが確認された。

以上の処理を組み合わせることで、乾式紡糸CNT糸としては、世界最高の高導電率(1.36×106S/m)を有するCNT繊維を得ることができた。