表題番号:2023C-070 日付:2024/02/08
研究課題ステータス・メーカーの研究:その行動原則・様式に関する実証分析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 商学部 教授 三橋 平
研究成果概要

本研究課題の目的:本研究課題の目的は大きく以下の3つである。第1に、本研究は組織論・組織科学分野のステータス研究に位置付けており、ステータス理論の伸展・拡張を目的としている。ステータス理論には、自己強化説という定説があり、これはステータス・ヒエラルキーの硬直性を説明している。本研究では、この定説の例外事項を見つけることを目的としている。第2に、現在の文献ではヒエラルキーの硬直性に対し、ダイナミズムに関する理解が不足している。イタリア蒸留酒が長期的な経営努力によってそのステータスを高めたことは知られており、そこではステータス移転を用いた戦略が不足している。そこで、本研究では、低ステータス・アクターがそのステータスを高める方策に加えて、高ステータス・アクターがそのステータスを維持する方策についての理解を深める。第3に、分析の対象を賞自体とする。これまでは賞はステータスを授与するものとして議論されてきた。しかし、賞の中にもステータスが高いものと、低いものがある。そこで、ステータス・メーカーである賞間にはどのような関係性があり、また、それがどのようにステータスの上昇、維持、下降に影響を与えるかを見ていく。

本研究課題の具体的な方法:具体的な方法としては、文学賞のデータを使用する。文学賞をコンテクストとして用いる利点は、賞が多いこと、ステータスがあること、賞自体の新設・消滅があること、審査員データが入手できること、である。

本研究課題の作業仮説:作業仮説としては、上位賞の受賞者に授与することで下位賞はステータスを高めることができる、上位賞は下位賞の受賞者を避けることでステータスを維持することができる、などを予定している。

本研究課題の進捗状況:今回の予算申請を通じて取得したデータのクリーニング作業を行っている。データ量が莫大であるため確認作業に時間を要している。現在科学研究費を受け取っており、重複申請の関係で昨年度は申請できなかったが、次回の申請時までに本データの作業を進めて整った準備状況をアピールしていく。