表題番号:2023C-069 日付:2024/03/28
研究課題ネットワーク形成に関する戦略提携論的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 商学部 教授 藤田 誠
研究成果概要
 経営学領域において、戦略提携とネットワークの概念は密接に関連しており、両者がほぼ同義の概念として論じられる場合もある。じっさい、Salvato, Reuer & Battigalli (2017)は、「企業間の協働行動」(cooperative behavior in governing interfirm relations)という網羅的概念のなかに、戦略提携とネットワークの概念を位置づけている。そして、より理論的な見地からいえば、ネットワーク論の基本単位は、アクター(経済主体)間の二者間関係(ダイアド)であり、また戦略提携とは基本的には二者間の契約関係として捉えることができる。以上のような点に着目し、昨年度以来、ネットワーク形成を戦略提携の観点から研究しており、昨年度と今年度は主要雑誌のサーベイを実施した。
 戦略提携は実務面でも研究テーマとしても定着しており、新聞・雑誌記事数および論文数でみれば数多くの情報がある。しかしながら、提携の形成要因や成功要因に関しては、各研究者が独自の観点から研究を行ってきたのが現状であり、確立した知見がないのはもとより理論的なアプローチについても多種多様である。かかる状況において、経営学における主要学術雑誌について2000年以降の論文をサーベイすると、経営資源の補完性が提携の形成要因および成功要因として挙げられる。また、提携における契約形態や提携パートナーが認識する公平感・信頼が成功要因として挙げることができる。そうした意味では、従来からある資源依存理論を発展させることは、当該領域の理論化のひとつの道筋であるというのが、暫定的な結論である。