表題番号:2023C-064 日付:2024/02/07
研究課題ルチル包有物の分光学的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 准教授 田口 知樹
研究成果概要
ルチル(化学組成:TiO2)は広い温度圧力条件で安定な鉱物であり、中程度から高度の変成作用を経験した岩石でよく認められる。また、ルチルはHFSE(high field strength elements)の主要な貯蔵庫であり、地球内部の元素循環を解読する上で有用と考えられている。天然ルチルは様々な産状を示すが、変成鉱物中に微小かつ針状で現れるものは近年注目を集めている。針状ルチルは高圧や超高温変成の指標になり得る可能性も示唆されているが、その形成過程について統一見解は得られていない。本研究では変成岩中のザクロ石に認められる針状ルチル包有物に着目し、その特性をラマン分光分析から精査することを目的とした。三波川エクロジャイトを対象に研究を進めた結果、針状ルチルがザクロ石中心部に集中して分布することが判明した。また、残留圧力を保持する針状ルチルを複数見出した。これはルチル包有物の捕獲時期を特定する手掛かりになることが期待される。今後ルチルの分析数を増やし、さらなる検討を行う予定である。