表題番号:2023C-037 日付:2024/02/05
研究課題ポストコロナにおける大学生の適応に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 福川 康之
(連携研究者) 早稲田大学 助手 瀧川諒子
研究成果概要
 クロノタイプは,個人の毎日の活動パターンを反映する睡眠と覚醒のサイクルである.一般に夜型の人は昼型の人よりも健康リスクが高いことが示唆されている.ただし,クロノタイプは生来の特性にも関係することが指摘されている.そこで本研究では,クロノタイプと身体的および精神的健康との関係を検討した.
 ウェブ調査により,日本人大学生計146名がからデータを得た.回答の質に配慮し,131名(男性44名,女性87名:18~27歳)のデータを分析対象とした. 測定した変数は以下のとおりである.1) Munich Chrono Type Questionnaire (MCTQ: Roenneberg et al., 2003),2) 肥満度(BMI: 自己申告の身長と体重から計算),3) 認知反射テスト (CRT: Frederick,2005).研究仮説は以下のとおりであった.1)朝型の学生に比べて夜型の学生のBMIが高い,2)参加者が自分のクロノタイプと一致する時間でテストを受けた場合,被験者のCRTスコアが向上する.
 得られたデータを解析したところ,以下の結果が得られた.1)朝型学生の割合は,男性(31.8%)よりも女性(49.4%)の方が有意に高かった.2)朝型男性は夜型男性に比べて BMI が有意に高かった.3)朝型女性は夜型女性に比べてBMIが有意に低かった.4)自身のクロノタイプと一致する時間にCRTを受けた男性は高い成績を示したが,女性にはそのような傾向が見られなかった.
 本研究の結果は,クロノタイプがBMIおよびCRTスコアと関連することを示すものである.ただしその関連は性別やタスクの実行時間によって調整されることも明らかとなった.研究者は身体的および精神的健康に対するクロノタイプの影響を調査する際に,これらの要因を考慮する必要がある.