表題番号:2023C-032 日付:2024/04/03
研究課題身体計測の思想史:生政治の時代における断片化する身体と虚構的な身体イメージの行方
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文化構想学部 教授 橋本 一径
研究成果概要
本研究は、西洋において人間のアイデンティティの基盤がイメージから数値へと移り変わる過程を具体的に跡づけようとするものである。そのために本年度はまず、西洋における自己イメージとして重要な役割を果たしてきた写真の歴史に着目し、2本の学術論文を上梓した。
また、夏季および春季の長期休暇を利用して、フランス国立図書館にて、19世紀の服飾史や人類学史関係の資料を渉猟し、人体のサイズの計測方法や意味の変化をたどった。この調査の成果は2024年度中に単著にまとめられる予定である。
上記の写真をめぐる研究と、身体計測の歴史の研究を結びつける試みとして、口頭発表「鏡・写真・数値ーー「私」を制定するイメージと人文学」を行った。この口頭発表は冊子として刊行されている。
本研究の準備となる身体論的な研究の一環として参加したシンポジウム「ドーピングとは何か」の採録が、『スポートロジイ』第5号に刊行された。
同様に、『表象』第17号に翻訳掲載したイラナ・ロウィ「黙殺された身体?」は、フランスの身体論・無知学の最近の展開の一端を紹介したものである。