表題番号:2023C-019 日付:2024/02/23
研究課題持続可能な開発目標(SDGs)と経済法
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 法学部 教授 土田 和博
研究成果概要

「持続可能な発展目標(Sustainable Development Goals: SDGs)と法」をめぐる議論が特に環境法や国際法を中心に盛んである。経済法の分野では、主に環境問題と競争法(独占禁止法制)、国家補助(state aid)規制との関係を論じる研究はみられたものの、競争法、国家補助規制以外の経済法領域(エネルギー法等)にまで視野を広げて、SDGsの推進に向けた経済法制度のあり方を検討しようという研究も少なかったように思われる。本研究では、そのような可能性を追究した。

持続可能な発展目標(SDGs)は、その出自からして、曖昧な矛盾する契機を含むものである。しかし、それでも2030アジェンダを全否定するのではなく、変化を促す道具として使うという立場はあり得る。その場合、競争法には、SDGsとの関係で剣(矛)と盾の役割があるほか、経済法には積極的にSDGsを促進するという役割もある。競争法の盾の役割においては、事業者の持続可能性を目的とする行為を競争法違反としないロジックが主たる問題である。経済法(エネルギー法)の役割については、持続可能な発展目標に向けて、低価格の再エネ発電を迅速かつ確実に促進するための公正で透明なルールの考究が重要な課題である。