表題番号:2023C-011 日付:2024/03/30
研究課題自治体組織のあり方に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 大学院政治学研究科 教授 稲継 裕昭
研究成果概要
 地方自治体を取り巻く社会経済環境は大きく変化している。少子高齢化の進展に伴う諸施策の展開、日本経済の長期的な低迷、地域経済活性化施策の展開、高度成長期に建設されたインフラの老朽化への対策、公共施設の廃止・統合の決定と地域住民への説明、個人情報保護へのより強い配慮の要請、窓口や学校現場における多文化共生やダイバーシティへの対応、社会におけるDXの飛躍的な進展に追いつくための諸施策の展開など数え上げればきりがない。これらの業務が、従来行ってきた基礎・基幹業務に付け加わる形で増加してきている。
 また、自然災害が多い日本の特性とそれへの対応が自治体に課せられていることも重要だ。全世界の地震発生回数の2割近くが発生する。地理的、地形的、気象的諸条件から、その他の自然災害も他国に比べて発生しやすい国土であり、台風被害、線状降水帯の発生による豪雨災害、豪雪被害等も頻発している。発生した際の避難指示や避難場所の確保など緊急対応は市区町村の使命である。大規模災害の多発とそれへの備えのために、防災部門の職員数は過去30年で3.5倍になっている。
 このような環境下にある自治体組織はどうあるべきか。これまでの自治体組織論文献について渉猟するとともに、全国の自治体の組織改革で特徴的な取組みを行っている所を中心に研究を進めた。
 担い手不足、若手職員の離職、住民からの需要の増加などの与件にも対応するためには、DXの更なる活用と、需要の見直しなどが必要だと考えられる。今後、それらの詳細についてさらに研究を深めたい。