表題番号:2022R-027 日付:2023/03/29
研究課題概日時計を介したシアノバクテリアの日周環境下の生存戦略
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 教授 岩崎 秀雄
研究成果概要

単細胞性シアノバクテリアSynechococcus elongatus PCC 7942を用い、概日時計がどのようにして日周環境下の生存に寄与しているのか解明することを目指している。シアノバクテリアの概日発振機構の中心はkaiA, kaiB, kaiCがコードする三つの時計タンパク質である。このうち、kaiAの欠損株は、通常の培養温度である30℃においては、明暗サイクル下での成長は野生株より大きく低下する。私たちは低温(25℃以下)においてはその限りではなく、野生株と同様か、kaiA欠損株のほうが早く生長する場合すらあることを見出した。生化学振動子の自律性が消失する条件における概日システムの代謝との関りは、殆ど明らかになっていないため、この低温下でのkaiA欠損株の成長抑制の回避は概日代謝制御の新たな切り口と考えられた。そこで、Kaiタンパク質や概日転写出力系のマスター因子RpaAの動態を詳しく解析したところ、低温・明暗条件下では、KaiC蓄積量が多いほど生育が悪化していることが明らかになった。