本研究では，気候変動による非定常的な海面上昇の影響下で，津波災害の可能性がある建物ポートフォリオのライフサイクルリスク評価法を提案した．建物の累積損失は，地震到達時間の不確実性と時間依存性リスクに基づく複合更新プロセスによって評価される．地震到達時間は，過去のデータに基づく非ポアソン過程を用いてモデル化した．海面上昇を考慮した津波ハザードカーブは，気候モデルを用いて推定し，津波伝播解析により求める．また，信頼性と建物単位損失から，時間的に変化する年間リスクを推定した．最後に，建物ポートフォリオのライフサイクル津波リスクを推定するための数値計算方法を提案した．