表題番号:2022C-662
日付:2023/02/02
研究課題唐詩「忘言」考
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
---|---|---|---|
(代表者) | 高等学院 | 教諭 | 小田 健太 |
- 研究成果概要
- 陶淵明(365?~427)の「飲酒」〈其五〉の末尾には、「此中有真意、欲弁已忘言(此の中に真意有り、弁ぜんと欲して已に言を忘る)」と詠じられている。本研究では「忘言」の語に着目し、陶淵明の「忘言」が唐詩にいかに影響を与えたのか、また、唐詩との相違点は何かを探る。一例として、駱賓王(?~684)の「秋日山行簡梁大官」がある。この詩において駱賓王は、「忘言已棄筌(言を忘れて已に筌を棄つ)」と詠じられているような、荘子的観念を感得する。しかし、陶淵明が「弁ぜんと欲して」「真」の言語化を志向していたのに対し、駱賓王はそうではない。「不言」の思想の生硬なままの表れが、駱賓王の「忘言」なのである。