表題番号:2022C-596 日付:2023/04/07
研究課題先秦期の婚姻習慣・規範の変遷に関する出土資料を活用した研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 助手 平林 美理
研究成果概要
 本研究では、先秦期の婚姻習慣・規範の変遷について解明する一環として、清華大学蔵戦国竹簡『鄭武夫人規孺子』の検討を行った。本簡は、鄭の国君・武公の死後、後継者となる荘公に対して武公夫人や臣下が統治について訓戒を行うという形式の史料である。本研究では、清華簡『繋年』に見える春秋初期の鄭に関する記述なども参照しつつ、伝世文献や出土史料に見える国君夫人による夫や子への助言・訓戒記事との比較を行った。その結果、本簡の武公夫人の言動の背景に春秋時代の新君即位時に夫人が大夫に新君を「属」す行為の存在が窺えること、一方で、本簡の「先君夫人による新君への訓戒」や夫人の言動は、春秋初期の国君夫人の有していた役割とは相反する部分が多く、記述自体は後代の規範に基づくものと考えられることを明らかにした。