表題番号:2022C-588 日付:2023/04/01
研究課題交感的コミュニケーションにおける詩的連関
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 法学部 教授 武黒 麻紀子
研究成果概要

マリノフスキー(1923)の「交感的コミュニオン」はヤコブソン(1960)の「接触」の概念と合わせて、言語の持つ社会的な絆を創造・維持する役割を示すと論じた。交感性とそれが生まれる前提となる社会構造やマルチモーダル要素との詩的連環を論じることを究極の目的に据えている本研究では、その目的に到達する最初の一歩として、今年度は関連文献の読み込みからスタートした。文献をかなり読みリサーチクエスチョンを立てつつある中で、人と人とのつながり方のありさまを言語人類学的に描き出すのに必要なデータ収集地(調査地)の決定を試みた。その際に参考にしたのが岡(2012, 2013, 2016)の研究で、特にそこで取り上げられていた自殺希少地域の徳島県海陽町(平成の合併前の海部町)の人間関係に着目した。そこで2022年12月に下見に赴き、調査に協力してくれそうな人々を紹介して頂いたり、地域の環境を観察してきた。その後、早稲田大学の「人を対象とする倫理審査委員会」に申請を行い、海陽町での研究実施の承認を得た。さらに、2023年7月に行われる国際語用論学会のパネル"Poetics of Phaticity: Contacting and Distancing in Contemporary Social Life”(交感性のポエティクスー現代社会生活における接触と距離)の企画者の一人として、交感性に関する研究発表会を早稲田大学8号館で2023年3月15日に開催し、下見で得た見聞や先行研究との関連、今後の展開などを発表し、パネル登壇者と討論を行った。