表題番号:2022C-584 日付:2023/04/07
研究課題ニッコロ・マキァヴェッリの教会国家批判―教会を巡る敵対関係とアクターの多元性
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 政治経済学部 助手 横尾 祐樹
研究成果概要

本研究は、『君主論』の教会論を検討する。次の教皇を自派に親しい者から選出できれば自派の繁栄が望める反面、敵対党派から教皇が選抜された場合は自派の弾圧が危惧される。そうした国家間紛争や封建貴族間の紛争、下位に属する諸集団の駆け引きの結果として上位者である教皇が選抜される。その一方で、教皇選抜の帰結は再帰的に(自身へ跳ね返るように)、下位に属する諸集団の敵対関係に影響する。枢機卿選抜においても同様の構図が適用される。枢機卿選抜は教会国家という上位者内部の派閥抗争に過ぎないはずであるが、下位に属する諸集団の利害関係を広域的に巻き込んで、彼らの間で潜在的に燻っていた敵対関係を顕在化させることがある。