表題番号:2022C-456
日付:2023/11/29
研究課題量産を目指したレクテナ用の圧電トランスの開発
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 先進理工学部 | 教授 | 柳谷 隆彦 |
(連携研究者) | 理工学術院 | 教授 | 柳谷隆彦 |
- 研究成果概要
基板が付いたHBAR型の構造の圧電トランスでは単層と多層の間にある厚い基板の多重共振の影響により、駆動周波数が非常に狭帯域になるという問題がある。これに対して、自立構造のFBAR型の圧電トランスではHBAR型と比較して広帯域駆動が可能となる。しかし、作製の過程で薄膜自立構造が必要な上、放熱性や耐久性に問題がある。
本研究では、音響ブラッグ反射器上にScAlNを積層させたc軸ジグザグ配向ScAlN積層型圧電トランスを提案する。この構造では単層からの音波がブラッグ反射されて、基板まで到達しない。そのため基板での多重共振が起きず、HBAR型の圧電トランスよりも格段の広帯域での駆動が可能となる。また、ブラック反射層に熱を逃がすことができるためFBAR型の圧電トランスよりも耐電力性に優れている。
作製した4層のブラッグ反射器上c軸ジグザグScAlN積層型圧電トランスと5層のHBAR型c軸ジグザグScAlN積層圧電トランスの共振周波数付近における入出力電圧比を測定した。その結果、2.7倍の昇圧に成功した。ブラッグ反射器上c軸ジグザグScAlN積層型圧電トランスの比帯域幅は共振周波数の3.22%、HBAR型c軸ジグザグScAlN積層圧電トランスは0.07%であり、およそ46倍の広帯域化を実現した。