表題番号:2022C-408 日付:2023/02/06
研究課題フランス諸都市における都市化と住民組織の形成史ーリヨン大都市圏の事例を中心にー
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 商学部 准教授 國府 久郎
研究成果概要
 日本の都市において、行政の手が行き届かない様々な仕事を担ってきた町内会や自治会の存在意義が問われている。フランスでも任意の住民組織である街区委員会が存在するが、その「地域代表性」をめぐる問題は、住民組織が誕生した19世紀末から現代に至るまで未解決のままである。日本では社会学や法社会学、都市計画学などの各分野で、中都市のグルノーブル、アミアン、ニームなどの現地調査に基づき、街区委員会の機能と市当局との関係を検討することで、街区委員会の代表性を明らかにしようと試みられてきた。リヨンなどの大都市では、1890年代から街区委員会が形成され始めた事実が明らかになっており、その歴史的起源を正確に把握すれば、住民組織の本質に迫ることができ「地域代表性」をめぐる問題解決の一助となる。フランスでは19世紀末から1930年代初頭までに、特にリヨンのような地方大都市において路面電車の路線網が整備され郊外化が進行した。こうした都市化の過程で、街区委員会のような住民組織が徐々に形成された。