表題番号:2022C-378 日付:2023/10/16
研究課題中世の古典受容に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 教授 新美 哲彦
研究成果概要

本研究では、中世の古典受容を主な研究対象とする。中世は、説話文学、随筆文学、軍記文学、和歌文学などが花開いた時代でもあるが、一方で、中古に達成された『古今和歌集』『伊勢物語』『源氏物語』などの公家の文化を継承し受容していく時代でもあった。そのような中古文学の受容が、新たな文学を生み出す原動力ともなっていったのである。本研究では、中世公家の日記を調査し、その中に見られる女性たちの古典受容を詳しく見ていった。

具体的には、安土桃山時代の公家の山科言経による日記である『言経卿記』を調査し、女性たちの古典享受を整理した。実際に女性たちがどのように古典を享受し、学習していたかは、非常にわかりにくい。しかし、『言経卿記』には、多くの女性たちのいきいきとした古典受容が記載される。古典作品ごとの受容の様子や、どのような古典作品が記載されているか、『源氏物語』やその注釈書類はどの程度の量含まれるか、など、項目ごとに整理していき、女性たちの古典受容の実態の一端が明らかとなった。