表題番号:2022C-361 日付:2023/04/04
研究課題クリスティアン・クラハトのオートフィクショナルな旅行小説
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 山本 浩司
研究成果概要

Ch・クラハトのデビュー作『ファザーラント』(1995)は、ドイツの今ここを切り取った90年代ポップ文学の嚆矢となる旅小説として知られる。そのクラハトが痴呆症を発症した老母に付き添いながらスイス国内を放浪する『ユーロトラッシュ』(2021)を新たに発表した。同時代の紀行文学のコンテクストにおきながら、四半世紀の間をおいた旅小説の特質を比較考量し近作における老いゆく社会に対する毒あるユーモアの切れ味を確認した。また、ウィーン、ブルク劇場におけるイスラエル人ティランの演出も鑑賞して、小説ジャンルを越え出る作品の可能性についても考察した。研究成果は2023年度中に論文にまとめる予定である。