表題番号:2022C-330 日付:2023/04/02
研究課題エックハルトにおけるキリスト教神学の脱構築――現代哲学からのアプローチ
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 法学部 教授 守中 高明
研究成果概要
 エックハルトは、キリスト教神学の根本諸概念を問うことで未聞の地平を拓いた。彼の説く「離脱」と「放下」はパラドックスを構成する。「離脱」とは「神を強いて私に来たらしめる」働きであり、「純粋な離脱せる心」は「神の流入に対する最大の受容性」である。他方、エックハルトは「放下」の「究極」は「神を神のために放下すること」だと言う。最大に「受容」した神を「放下」するとき、なにが起きるか。それは「自存する自体性における神」の現前であり、そのとき人は「一真人」へと生成を遂げる。神を内在性の領野へ解体し、一切の他律的原理に拠らない〈生〉を可能にするこの思考は、現代社会の抑圧的構造からの自由の原理を示している。