表題番号:2022C-290 日付:2023/04/04
研究課題墳墓画像による五胡十六国時代の再検討
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 本庄高等学院 教諭 三崎 良章
研究成果概要
  甘粛省高台県で発掘された「許三湾五道梁墓群、1999年4月発掘墓」出土の画像磚を分析し、五胡十六国時代中期4世紀後半の河西社会の変動を検討した。魏晋十六時代の河西では、漢人豪族社会の進展を反映して多色を用いた壁画墓が造営されたが、同墓の画像磚は、この時代としては異質な黒色のみを用い、稚拙なものであった。同墓は378年築造で、高台の壁画墓としては最末期のものだが、当時は前秦が前涼を滅ぼした直後で、文献史料によれば氐族国家前秦の支配と激しい人間の移動により、漢人豪族社会が大きく変動していた。こうした時期に造営された同墓は、高台の壁画墓文化の終幕を告げるものであり、河西漢人豪族社会の衰退を示している。