表題番号:2022C-277 日付:2023/04/01
研究課題三宝尊『仏母般若波羅蜜多円集要義論註』における増益分別と損減分別について
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 飛田 康裕
研究成果概要
『仏母般若波羅蜜多円集要義論註』は、5世紀から6世紀の学僧と伝えられる三宝尊の著作である。この著作においては、『般若経』に見られる「十種分別散乱」を取り上げ、唯識思想を基調としながら、その意図を解釈している。十種の分別散乱は、「増益分別」・「損減分別」などから構成されるが、伝統説において、増益分別は「[遍計所執といった存在しない事物さえも]存在するとする[誤った]構想」とされ、損減分別は「[円成実といった存在する事物さえも]存在しないとする[誤った]構想」とされている。三宝尊の註釈を翻訳の上、検討した結果、「増益分別」と「損減分別」に限って言えば、伝統説の意図をほぼ踏襲していることが判明した。